イヌ、ネコ、フェレットのかかる伝染病の多くは、環境または感染している他の動物から感染し、未だ治療法がなく死亡率の高い危険な病気がたくさんあります。
ワクチン接種で防げる病気もあるため、しっかり予防しましょう。いくつかの病気を予防できる混合ワクチンが一般的に用いられます。どの種類を接種するかは、その子のワクチンへの反応性、生活環境により異なりますので診察時にご説明して選択いただきます。
また、イヌでは狂犬病ワクチンの接種が法律で定められています。
ネコでも渡航時に狂犬病ワクチン接種と抗体価検査が必要な場合があります。渡航条件を満たすためには時間を要するので予定のある方は、早めに条件の確認と診察をおすすめいたします。
蚊が媒介するフィラリアという寄生虫が犬や猫の心臓に寄生して起こる病気で、寄生すると心臓の構造を壊し、血液の流れが悪くなるため身体に様々な障害を起こします。放置すると死に至る場合もある恐ろしい病気です。
フィラリアという虫を体内に持っている蚊が犬や猫を吸血すると、そこから犬の体内にフィラリアが入り込み感染します。感染すると体内を通って心臓に入りそこに寄生します。
症状は重症化するまで気づかない場合が多く、元気がない、食欲がない、お腹が膨らんできた、呼吸が苦しそう、尿が赤くなるなどがみられます。感染初期は症状がほとんど出ないので予防が重要です。
ノミ・ダニとは犬や猫に寄生する外部寄生虫です。
栄養源は動物の血液で、人にも寄生するので注意が必要です。
ノミは室内、室外どちらの環境でも生息できます。室外では主に梅雨の前後から活発に発生し繁殖し始めますが、暖房などにより暖かな環境がととのった室内では1年中生息しています。
一方マダニは春から夏にかけて成ダニの活動が活発になりますが、秋から冬は幼ダニや若ダニが増えます。
郊外の山や森の草むらや、広い公園や河川敷の草むらなどに住み潜み、そばを通りかかった犬や猫に飛び移れる機会を狙っています。動物の体温、振動、二酸化炭素などを感知し、動物の体表に寄生します。
特に耳や胸部、内股、お尻の周りなど毛の少ないところを好みます。
ノミ・ダニに噛まれると、犬や猫は皮膚炎や貧血、栄養障害などの病気を引きおこします。
またノミ・ダニが運ぶ病原体が人に様々な感染症を引き起こし、場合によっては命に関わる危険もあります。
SFTSとは重症熱性血小板減少症という病気でダニが媒介して人間に感染する病気で厚生労働省が注意しています。2011年に中国で初めて報告されましたが、2013年1月には海外渡航歴のないSFTSの患者(2012年秋に死亡)が国内で初めて確認されました。
それから2013年12月25日のまでの間に国内で53人の感染が確認され、そのうち21人が死亡しました。
SFTSの病原体は2011年に初めて特定された新しいウイルス(SFTSウイルス)でウイルスを保有しているダニに噛まれることによって感染します。そのため患者の多くはマダニの活発な時期である春から秋にかけて発生しています。
感染すると発熱、消化器症状(食欲の低下、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例でみられます。
頭痛や筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状などを起こすこともあります。
現在、SFTSに対する有効な治療やワクチンなどはありません。マダニに噛まれないようにすることが大切です。この原因となったマダニ(フタトゲチマダニ)は犬や猫にもよく寄生しているマダニで、全国的に分布しています。マダニの活動が活発になる春から秋のシーズンは要注意です。
かわいいワンちゃん、ネコちゃんとの大切なスキンシップを安心して行えるようしっかりと予防しましょう。